2012年4月12日木曜日

オーバーワーク

「いつまでゲームやってるの!宿題もしないで!」
こんな親の叱り声はどの家庭でも聞こえてきそうである。


しかし、今まで勉強運動に頑張っていたわが子が、ある日を境に宿題せずにゴロゴロしながらずっとゲーム、マンガ本読んでいたりという姿を見ると、いったいどうしたのだろう・・・と親は心配になる。
それは一見「なまけている」ようにうつり、つい怒ってしまう。「ダラダラしてるんじゃない!」・・・。

特に思春期に多いが、ずっと高い目標設定を掲げてきたこどもたちのオーバーワークの結果、昼夜逆転、食生活の乱れ(拒食、過食)ゲームやPC,マンガなどに没頭し始め、注意するとカッとなりやすい、外に出たがらず友達とも会いたくない、「つまんない」をしばしば口にする、などとして表現されることがある。
ゲームやPCなどの没頭は、何をしていいか分からずに退屈しのぎでそうしているだけのことが多い。
こどもはおとなと違い、疲労回復や気分転換の方法を知らなかったり、(年齢的に)できなかったりするものである。


そして、発達障害(特にアスペルガータイプ)をもつこどもたちにおいては、オーバーワークにより対人関係において常に緊張をもたらし、周囲の視線が怖く感じられるようになることが多い。
常時何かを課せられている気がして、周囲からの「できていないじゃないか」と いうシグナルを鋭敏に察知してしまう。

発達障害者の成人においても(知的能力の高い人に多いが)、周囲から「課せられている」という思いが募れば募るほど、周囲の視線が恐怖の対象になってしま い、元来持っているパフォーマンスを発揮できずにいる。そんな自分を責めたり、時に周囲を強く憎んだりと自責と他責の循環経路が開通してしまう。

「できるであろう」という見込まれ感は、発達障害をもつ人々の苦悩のひとつである。
他者から一方的に期待され、そして失望される。「何でできないの?がっかり」ということばが頭から離れない。
この繰り返しにより、対人緊張が高いレベルで持続することになる。
失望されないように頑張ろうとする。結果的にオーバーワーク、そしてついにはエネルギー切れ。

発達障害をもつ人たちは、求められていることを決してできないわけではない。
ただ、「できない」環境に置かれているからである。
失敗は当然あって然るべき、時間的余裕がもてる、その余裕がない場合は手助けがある、など
少々の環境整備で持ち味を十分に発揮できることも多い。

誰にとっても過ごしやすい環境を作っていこう。
胸を張って、堂々と、自らを解放できるように・・・。




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