2012年4月30日月曜日

精神科外来

精神科研修医の時、指導医に教わった内容を今でも覚えている。
「精神科の外来にやってくる患者は、初診でも結構プライベートなことまで話してくれるものだ」
ハッキリ言おう。当時の指導医は何を診てきたのだろうか?
私の経験から、外来にやってくる患者のほとんどは、初診では本当は言いたい伝えたいことの 1割程度しか話せていないだろうと思っている。

実際に初診から2~3年たって「ずっと言えなかったことがあるんですけど・・・」と突然カムアウトされることを経験する。 例えばそれはリストカットなどの自傷行為、種々の薬物の乱用、盗癖などの社会的問題行動など、であったりする。

精神科の外来では、常に思い悩んでることについて「知られたら恥ずかしい、なんだそんなことくらいで、と思われるかもしれない」という思いを抱えてやってくることが多い。
その理解が先行せず、ズケズケと土足で上がるような診察をしたら、患者はその時点で、話すのをやめるだろう。

勇気を振り絞って精神科の外来を訪れた患者が、土足で踏み込まれるような問診を受け、さらに心を閉ざす。その結果、当たり障りのない回答をする患者に対し、ステレオタイプに薬剤が処方される。
当然だか処方された薬は飲んだり飲まなかったり。
そして、医師はそのことを知らない。 なぜなら、医師自らが本当のことを言えなくしてしまったのだから・・・。

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