2010年3月1日月曜日

本を読もう、かな?

書店に立ち寄ると、自己啓発に関する書籍が店頭にズラリと並んでいるのをよく見かける。
売上ランキングコーナーも、これ等の本が上位を占め売れ行きが良いようだ。
それぞれがスキルアップを求め手に取るのだろうし、私も一時期この手の本を読み漁っていたことがある。

しかし、書いてある内容は言い回しが若干異なる程度で、大抵どれも同じであることに気づく。
「決断力」「実行力」「コミュニケーション力」など・・・

発達障害支援関係の書籍も以前に比べ、かなり増えた。様々な専門職の人が書いているが、本の最後に書かれている事は大抵同じ内容である。職種の違いによる視点の差異はあるものの。
「本人の能力をのばそう」「連携が必要」「システム構築の強化を」など・・・

自己啓発本や支援本に書かれている内容は、どれも正しくそうあるべきだと私も思う。
しかし、これらの本に共通することは
「失敗を前提にした内容がほとんど描かれていない」
ことである。

どんなシステムでも、まるで失敗は許されないかのような。
失敗したら、それを挽回する余地が残されていないかのような。

苦悩の毎日である当事者や家族が、理想的な支援方法がずらりと書かれている本を読んだらどう思うのだろう?
「この通りにできない私が悪いんだろうか」「もうやってるって・・・それでもうまくいかないから悩んでるのに」など、ネガティブな思考が頭の中に押し寄せてはこないだろうか・・・と考えてしまう。
これらの本は、もしかすると「既にうまくいっている人たちの自尊心を確認するための本」なのか、とも考えてしまう。

知識を蓄えるためにはやはり、本を読んで学ぶことは大切である。
しかし、「苦しい現状」までは書かれきれないし、本という媒体では無理な話でもある。
例え書いたとしても、書いた瞬間からその事柄は「過去のこと」になるわけだから。
このようなblogも、同じかもしれない。今私が書いている内容も、「過去」になっていく。

それでも、本を読もう、名著と呼ばれる本はたくさんある。
そして「読み方」を身につけよう。
過去の歴史を感じながら、現状の苦悩は自ら読者が書き加えていくような、そんな読み方がいいのかな。
読書を通じてのdialogを、大切にしたいですね。

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