2013年4月27日土曜日

コミュニケーション能力

療育支援事業を行うに際し、親のニーズとして最も多かったのが「コミュニケーション能力を高めて欲しい」というものである。
これはまさに、現代社会で今最も求められているものの反映であるだろう。
一昔前のサービス体系は主に「対物」であり、今ほど高いコミュニケーションスキルを必要とせずとも成り立っていた社会であった。

人は豊かさを求め続ける生き物である。豊かさを求めた結果社会資源は多様化する一方である。その結果、現在のサービス体系の多くは「対人」となっていった。
消費者の権利意識が高まるにつれ、消費者に対していかに独自性のあるサービスを提供できるかは提供側にとって死活問題とも言えよう。
消費者のニーズを把握する能力、それに応えるための説明能力、宣伝技術など高度なコミュニケーションスキル。提供側は無条件にそれを要求される。

このような「対人」サービス隆盛の現代社会において生きづらくなっている人たちが昨今クローズアップされてきた。学校や職場など集団社会における適応困難・・・それが例えば発達障害のある人たちであったりする。多様化したサービス産業で豊かな社会になりつつある現状が、今まで顕在化することのなかった発達障害者の苦悩を浮き彫りにさせているように映る。

コミュニケーション能力が否応なしに求められてしまう現代社会。ぎこちなくても自らの思いを伝え、それを周囲が受け止めお返しする、とスタイルは形骸化の一途である。多大なる労力を費やしてまで複雑極まりないコミュニケーションを行うことに、疲れ果てている人たちが多くいる。

「シンプルイズベスト」などというフレーズは、コミュニケーションにおいては全く当てはまらなくなっている。ズバリと物申すことが敬遠され、本心を常にオブラートに包んで差し出さねばならない。面倒な世の中になったものだ・・・。

1 件のコメント:

タマ吉 さんのコメント...

日本において「シンプル」とは
全てを言い尽くさない事 説明をできるだけ省く事 というのが大多数に支持される感覚ではないかと思われます。

ビートたけし著「間抜けの構造」には "間”を読み取ることが面白いとされています。
直接的な説明だらけのセリフが必要ならハリウッド映画を観ておけと。

今回取り上げられている サービス業において昨今「接遇」なるものが重宝されています。
いわゆる「おもてなし」の精神をもって行う接客法ですが、
そういう場面で使われる上品な言い回しは、
一方では回りくどいと感じられる
という事でもあるかもしれませんね。

オーブラートに包むことの方が良しとされている日本において、
発達障害を持つ方々にいい適応法が見つかるとイイですね。