2012年11月19日月曜日

「だめ」って言わないで・・・

少年院での診察から回想する。

薬物乱用・依存、自傷や自殺企図、過食嘔吐、虐待や性被害などトラウマによる影響、知的障害や発達障害、外国籍など言語的ハンディキャップなど・・・。

これらは全て児童青年期における精神医学的な諸問題であり
「非行」という共通因子でLinkしている。
 

劣悪な家庭環境から逃れるがための度重なる家出。
帰るあてもなく街を彷徨い歩き続け、辿りつく場所は・・・
やはり暴力的な環境であったりする。
暴力が正当化される環境。いつしか自らも暴力を用いて解決しようとしていた。

そんな自らの醜悪さに耐えきれず、「消えてなくなりたくなる」。

何とかして生きていきたいがための方策、術であった覚せい剤、過量飲酒、手首自傷、自己誘発性嘔吐・・・。
これらは、行動上「よくないこと」と社会的に容認されていない。
「社会的にだめなこと」をやって生きている自分はやはり「だめな存在」だ、と一層傷ついている。
だから、リストカットしていることやトイレで吐いていることを告白できずにいる。
更生に向けて指導教育を行うはずである少年院ですら
「だめなものはだめ」と苦悩の告白を退けようとする。

どこに行っても「だめだ」と言われ続ける少年らは、どうやって生きていけばいいのでしょうか。

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