2010年5月8日土曜日

ADHD児の苦悩

ゴールデンウイークも終わり、仕事再開!
連休が続くと診察も時間がかかってしまって、私がリハビリしないとですね・・・。

私の外来にやってくるこどもたちの中には、ADHD(注意欠如・多動性障害)の診断基準を満たす子たちが数多くいる。その特徴は①多動性②衝動性③不注意性で表され、その特性により家庭・学校などで「問題児」として扱われてしまうことが多い。
そんなADHD児のこころの真相に迫ろうと思い、私の思いを綴ってみた。

ADHDの子どもたちの話に耳を傾ける。
「周りがだらけてるとぶっとばしたくなるんすよ!ちゃんとやれよ!って」
「でもそれでイライラしちゃう自分が悔しいっす」
彼らは、何事にも絶対に妥協を許さないと強く願っているのに、それを遂行できないジレンマに慢性的に苦悩しているのであって、不注意性の部分で「飽きっぽい」「中途半端」と言われてしまうことに、実は激しい怒りと悲しみを抱いており、理解されない悔しさで満ち溢れている。

「はまったらとことんやるよ!」
ADHDのこどもたちは過集中という特性のため、「はまったら一直線でやめないぞ、誰にも負けん」と本人はそう思っている。しかし周囲から「好きなことだけはずっとやってて、わがままな奴だ」と否定的評価をされ続ける。最終的に「周囲が考えるような“わがままな悪い子”」を演じ始め、僅かな自尊感情を手放してゆく。

「“おまえはどうしようもない奴”ってあいつらが言ってるから、そうしてやってんだけどね」
自尊感情を手放さざるを得なくなったADHDの子どもたちは、元来所有する大きな行動エネルギー、そのベクトルの向きを、180度変えることに力を注ぎ進む。けんか、窃盗、暴走行為・・・一般社会が望む向きとは逆なのだが、本人達は「社会がそうしろと言っているんだ」と感じながら螺旋階段を駆け降りるように進んでいく。

「もう、このキャラを変えられねーんだよ・・・」
「クスリをやめろ?ハァ?って感じ。やめたからって何なんだよ」
「螺旋階段」を駆け降りたADHDのこどもたちを待っているのは、同じような傷つきをもつ同世代の子たちである。しかし、そのような傷つきを利用する大人たちが同時に存在する。騙され裏切られ・・一体何が真実なのか、分からないし分かりたくもない、という怒りと悔しさの感情だけが残り続ける。
そして、孤独に陥り、アルコールや薬物に耽溺するようになると、元来持つ衝動性は、それらの物質を使用する衝動へいつの間にかシフトしている。

ADHDのこどもたちの多くの口癖は「めんどくせ~」である。私は常にこのメッセージの裏側に存在する低い自尊心を垣間見る。本心は、何をやってもうまくいかない、だから真っ当にやりたいと思うが怖くてできないと感じているのであるが、それを「めんどくせ~」と彼らは表現している。

社会の一員として存在して欲しいという周囲の思いこそが、彼らにとって何よりも必要なのだ。

「これからは損する生き方をしなくていいよ、得する生き方を探していこう」
そんなメッセージを投げかけると、少年らは静かにうなずくのである。

2 件のコメント:

TOMOKO ARISUE さんのコメント...

ADHDの子供たちの心の叫びを初めて聞きました。どんな子供でもやはり認めてもらえない(受け入れてもらえない)という状況は、彼ら(彼女たち)を混乱させるのですね。大変参考になりました。ありがとうございます。

Michio Ariga さんのコメント...

>TOMOKO ARISUE様
コメントありがとうございました。
周囲に認められ、社会の一員として存在してるのだという実感こそが、子どもの育ちにとって大切な要素だと思います。
お手すきの時にでも、よかったらまたこのblogに寄ってみてください!