2012年9月12日水曜日

ウソかマコトか

診察の中で「こどもがしばしば嘘をつくので困る」という相談は多い。

こどもが嘘をつくようになるその背景は、「またどうせ怒られるだろう」という考えが固まりつつあることが多い。事実でも嘘でも怒られるのが分かっていると、「忘れた」「知らない」とはぐらかすようになってくる。さらに、親の諦観をこどもが察すると、口を閉ざしてしまうだろう。

特にADHDタイプのこどもたちは、その行動の特性上、叱責を受ける頻度が高くなってしまう。
寛容でなくなりつつある現代社会に、このタイプのこどもたちは随分と過ごしにくさを感じているだろうと思う。周囲が築いている枠を越えたがっているこどもたちの姿に、時々胸を痛めてしまう。

非寛容な状況では、嘘や偽りが増える一方である。何が真実であるのかわからず、皆疑心暗鬼になる。人の目を過剰に気にするようなこどもたちが増えているのは、少しでも枠を外れた主張は却下されてしまうような、社会の非寛容性が一因な気がしてならない。

「まあ、それもありだよね~」というメッセージで、如何ほどのこどもたちが救われるだろうか。
「それはあり得ないでしょ?」の乱発社会に息苦しさを感じているこどもの何と多いことか。

診察ではいろんな話が飛び交うけれど、
「それも“あり”かな」と、枠を大きく広げて診ていくことにしている。
枠を広げてみられるような自らの度量も、広がるといいなと思いつつ・・・。

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